スペイン紙「日本は劣った敵」W杯

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松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵

松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵

青山学院大学大学院法務研究科卒業。1985年から2014年まで日刊スポーツ新聞社に勤務。退職後にフリーランスのジャーナリストとして活動を開始。

 サッカーW杯カタール大会の日本の1次リーグの相手が西・独とコスタリカとニュージーランドの勝者に決まった。4月2日、ドーハで行われた組み合わせ抽選会で決定したもの。優勝経験のある欧州の二カ国と同居することになり、決勝トーナメント進出は厳しい道のりとなりそうである。

■日本のE組は死の組か?

日本はグループE

 日本はE組に入り、初戦は11月23日のドイツ、同27日に2戦目に大陸間プレーオフの勝者(コスタリカかNZ)、第3戦は12月1日のスペインとなる。上位2か国が上に進めるシステム、当然、スペインとドイツが進出の有力候補となる。

 ネット上では「死の組」という声も出て、16強進出に悲観的な見方も出ている。もっとも、死の組とは通常3か国以上強豪が揃い、ポット1(今回ならスペイン)、ポット2(同ドイツ)の国でも1次リーグ敗退の蓋然性が低くない場合に使われることが多い。思い浮かぶのが2002年日韓大会F組のスウェーデン・イングランド・アルゼンチン・ナイジェリア。この時はアルゼンチンが初戦のナイジェリアに勝利しながら、その後1分1敗の勝ち点4で敗退している。

 今回、日本が入ったE組は確かに日本にとっては勝ち上がるのが難しい「死の組」の印象ではあるが、西・独の両国からすれば2強2弱の構成で「死の組」どころか「いいドローだった」と思わず笑みがこぼれてしまうものかもしれない。

 ドロー後のスペインの新聞を見ると、そんな印象がある。EL Pais紙のLadislao Javier Monino記者は以下のように書いている。

 「ドイツと2つの劣った相手である日本、NZとコスタリカの大陸間プレーオフの勝者が、カタールW杯のスペインのライバルになる」(EL Pais・Alemania, Japón y Costa Rica o Nueva Zelanda, rivales de España en el Mundial de Qatar

 これがスペイン人の共通認識に近いものと思われる。実際、記事はドイツとの戦いに焦点が置かれている。

■1998年に似た2強2弱

 E組の組み合わせを見ると、過去に日本が出場した大会では、1998年のアルゼンチン・クロアチア・ジャマイカの2強2弱に似ているように感じる。今回の西・独は当時の亜・クロアチアより手強い印象はあるが、日本代表も1998年当時の初出場のチームに比べれば、出場7回目で選手の個々のスキルも大幅にアップしている。決勝トーナメント進出は簡単ではないが、1998年当時よりはチャンスはあると思う。

独kicker から

 もし、これが欧州での開催であれば、西・独が順当に勝ち上がる蓋然性は高いと思われるが、今回は中東のカタールで開催される。カタールの11月末から12月にかけての平均気温は25度~20度。2002年日韓大会で考えると、東京の6月から7月にかけての平均気温は22度~26度で似たような感じである(参照・Weather Spark)。日本の方が湿度が高くコンディション調整は難しいとは思うが、それでも欧州勢にとっては良い条件ではない。

 アジア予選で中東の国がホームの場合、好成績を挙げているのはよく知られている。今回のアジア最終予選で韓国は中東5か国と対戦し、本拠で4勝1分と負け知らずであったが、敵地では1勝1分1敗(他に中立地で2勝)であった。また、豪州のサウジアラビアとオマーンとの敵地での対戦は1分1敗(本拠と中立地で1勝1分)に終わっている。

 そのように考えると、西・独の2強も思わぬ苦戦をすることも考えられる。スペインが今回のドローを幸運と考えているであろうことは前述したが、ドイツの新聞を見ると、スペインほど楽観視していない記事が目についた。独キッカー紙は以下のように伝えている。

 「独代表は最初の試合で快適とは言えない相手の日本に対処することになる。日本とはW杯で対戦したことがない。日本は1998年から出場しており、1次リーグ敗退と16強を交互に繰り返している。」

 決勝トーナメント進出も珍しくない国であることを紹介した上で、フリック監督のコメントを掲載している。

 「エキサイティングなグループで、タスクはそれほど簡単ではない。…ブンデスリーガに多くの日本人プレイヤーがおり、その質は高い。」

(以上、kicker・WM-Auslosung: DFB-Elf gegen Spanien, Japan und einen Play-off-Sieger から)

 前回大会、1次リーグ1勝2敗の4位で決勝トーナメントに進めなかっただけに慎重な物言いになっているのかもしれないが、少なくとも独代表監督からは警戒されているのは間違いない。

■韓国は順当に1次リーグ敗退予想

東京五輪の責任はどうなった?

 まだ8か月先で、メンバーも流動的な状況であれこれ言うのは難しいが、個人的な予想としては今の体制では決勝トーナメント進出は楽ではないと思う。選手のポテンシャルは決して低くなく、中東での開催という欧州勢に不利な要素はあるものの、森保一監督の手腕が信じられない。

 選手選考、選手交代を含めた戦術についてはともかく、東京五輪でメダル獲得を目指しながら4位に終わった監督を続投させる理由が分からない。結果責任を負っていない監督に五輪以上の大舞台で好成績を期待するのが間違っている。それは任命者の田嶋幸三会長の責任も大きいと思う。

 本番までに何とかならないかと思うが、サッカー協会は不祥事でもない限り、W杯出場権を獲得した監督を更迭することはないであろう。(選手はいいが、監督がなぁ)と思いながらテレビ観戦するW杯というのも、居心地の良くないものである。

 他のアジアの代表のグループを見てみよう。最も厳しいのがC組のサウジアラビア。アルゼンチン、メキシコ、ポーランドという3強のグループに入ってしまった。この相手だと勝ち点1を取るのも簡単ではない。中東開催という準ホームの地位を活かしたいが、1次リーグ敗退が濃厚。

 H組の韓国も厳しい。ポルトガルとウルグアイに勝つのは容易ではなく、ガーナはアフリカ最終予選でナイジェリアと2度引き分けて、アウェーゴールで進出を決めた勝負強さを持つ。韓国がこの組で1勝を挙げるのは簡単ではなく、こちらも1次リーグで順当に敗退すると思う。

 逆にチャンスがありそうなのが、B組のイラン。ポット1のイングランドは難敵とはいえ、それ以外は米国と欧州予選プレーオフの勝者(ウェールズ・スコットランド・ウクライナ)という組み合わせで2位以上が狙える。

 開催国のカタールはポット1に入るため相手関係は楽になるが、オランダが入ってきたのは厳しい。2位通過を狙うのが現実的。

 豪州・UAEが出場できた場合はD組となる。ポット1のフランスは優勝候補で頭1つ抜けており、残るデンマークとチュニジアを叩いての2位通過狙いとなりそう。2006年頃の豪州ならチャンスがあるように思うが、当時ほど戦力は整っていないというのが大方の評価であろう。故障者が戻ってくれば、アジア最終予選で日本に負けた時のようなことはないと思うが、それでも厳しい。UAEはさらに条件が厳しいと思う。

■あくまでも私見

 日刊スポーツで短い時期ではあったがサッカーを担当した者の私見であるが、アジアの国の決勝トーナメント進出の可能性が高い順に並べると以下のようになる。

①イラン ②カタール ③日本 ④韓国 ⑤サウジアラビア

 豪州が出てくれば日本と韓国の間、UAEが出てくればサウジアラビアと同等といったところか。

 あくまでも個人的な考えであることは、あらためて強調しておく。

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