5月19日の朝日社説、日大タックル事件での雑な論法、薄い内容
松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵
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5月19日の朝日新聞の社説は「アメフト問題 徹底した解明が必要だ」と、日大の悪質なタックルの問題を、関学大の記者会見の2日後に論じている。
基本的には前日の毎日新聞の社説と大差なく、薄っぺらい印象はぬぐえない。この問題の最大のポイントは、刑法35条の正当行為として違法性が阻却されない可能性が強いという部分なのは、これまで散々、指摘してきた。そこをしっかり指摘しないと単なるスポーツの反則がなぜ、ここまで問題になるのかという部分を読者が納得できない。
毎日新聞の社説と異なる部分は、内田監督が日大の常務理事の1人で人事権も握っていることから「すべての関係者が不安や遠慮なく事実を話せるように、アメフト部にゆだねず大学本部が乗りだして、弁護士ら公平中立な第三者を中心とする調査態勢を築く。それが社会の常識だ。」と主張している部分。この主張は一見すると悪くないが、誤解を招きかねない。つまり、本件に関しては関学大の質問に対して明らかに整合性が取れない回答が寄せられており、当事者たる内田監督の説明に合理性がないから、第三者機関で調査するしかないということである。
通常、大学の体育会の間でトラブルが生じ、今回のようなやりとりをする段階で、いきなり第三者機関に委ねるのが社会常識とは思えない。通常は大学同士、あるいは体育会系クラブ同士には相互の信頼関係があるため、第三者機関を入れるまでもない。今回のように相手方の回答が真実をすべて述べていないという場合に、そのような方法もあるという話。実際、関学大は日大との信頼関係は完全に破壊されたという趣旨の発言をしているから、第三者機関という話が出てくるわけで、そうした段階を経る前に第三者機関に委ねることを「社会の常識だ」と断言するのは非常識であろう。
細かいことであるが、こういう議論の仕方が朝日新聞の主張の雑なところだと思う。自分の主張の根拠を「社会の常識」に求め、勝手に「それが社会の常識だ」と決めつける。今回はたまたまそういう事例、特異な事例であって、第三者機関を入れる方法もある、とすべきところを、あたかも一般的な事例であるかのように主張して、そうすることが社会の常識とする主張は合理性を欠いていると言わざるを得ない。
結論が良ければ途中の議論をすっ飛ばしてしまうような雑な文章は、社説としてはお粗末。ありがたがって読む文章でないのは確かだと思う。