横田滋さん死去 国民を守る憲法を願う

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松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵

松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵

青山学院大学大学院法務研究科卒業。1985年から2014年まで日刊スポーツ新聞社に勤務。退職後にフリーランスのジャーナリストとして活動を開始。

 北朝鮮による拉致被害者・横田めぐみさん(55)の父・横田滋さんが6月5日、川崎市内の病院で死去した。87歳。

■北朝鮮による現在進行形の国家犯罪

 1977年、13歳だった横田めぐみさんと生き別れとなって43年、遂に対面は果たせなかった。その無念さはいかばかりであったろう。もし、拉致事件がなければ、横田さんはめぐみさんやその弟さんたちとともに幸せな人生を送っていたことであろう。

 1977年11月15日、北朝鮮の工作員によって13歳のお嬢さんを奪われてから、半世紀近く、想像もつかないような苦しい日々を過ごされてきたと思う。許し難いのは北朝鮮である。対日工作のために13歳の少女を含む多数の日本人を拉致し、不誠実な対応を続けている。現在進行形の国家犯罪を行なっていることは、我々はしっかりと認識しなければならない。

■サッチャー英国首相の言葉

政府 拉致問題対策本部の「北朝鮮による日本人拉致問題」HPから

 こういう時に政治の話をするのは避けるのが筋なのかもしれないが、あえてしよう。僕は横田めぐみさんをはじめとする拉致被害者、そのご家族は日本国憲法第9条の被害者であると思っている。

 通常、自国民が拉致され、行動の自由を奪われた場合、それを国家として行なっていた場合、最後は武力行使で自国民を取り戻すのが国家としてのあるべき姿である。自国民の生命と財産を守るのは国家の務めである。

 英国のマーガレット・サッチャー首相の有名な言葉がある。

Under the British Empire of the flag, as long as there even people one person seeking relief to their country, is not in the absolute that it abandons the British government.

(大英帝国の旗の下、祖国に助けを求める国民が一人でもいる限り、英国政府が見捨てることは絶対にない。)

 何とも心強い言葉であるが、それは国家として当然為すべきことを言ったにすぎない。サッチャー首相は1982年のフォークランド紛争で、それを実践してみせたのはご存知の通りである。

■憲法前文の誤った前提、9条で国民を守れるのか

 拉致被害者は一部は帰国したものの、横田めぐみさんらは未だ北朝鮮に残っているものと思われる。日本が通常の国であれば、北朝鮮に対して武力介入して、拉致被害者を取り戻していた可能性はある。しかし、憲法9条で「国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」と規定している以上、武力介入はできない。

 その結果、北朝鮮は拉致した少女らを未だ、取引材料としているのである。武力介入ができない以上、日本ができることは経済制裁や人的交流の制限などに限られる。その制裁も抜け道があり、実効性があるのか疑問が残る。

 結局、他国民を誘拐し、人質として交渉材料にしているという国家犯罪を平然と行う国に対抗するには最終的には武力介入しかない。特に拉致問題のように、時間との勝負になる場合はなおさらである。

 日本国憲法の前文を見てほしい。ここに憲法を制定するに至った動機、理由が書かれている。有名な一節はここである。

 「…平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において…」

 憲法前文は、北朝鮮のような国家犯罪を平然と行う国家の存在を前提としていない。その間違った前提の下に制定されたのが憲法9条である。

■北朝鮮の発想の根っこにあるもの

 北朝鮮の発想の根本は簡単である。「殴ってこない相手には、何をしても恐れる必要はない。」

 これに尽きるであろう。世界にはこういう国もあるということを、我々は認識しなければならない。横田さんご一家の受難は、日本国憲法にも責任の一端があると思う。自国民を守れない憲法は改正し、我々国民が安心して暮らせる国家・社会を作ってほしい。横田さんご一家の悲劇を繰り返してはならないと、切に思う。

 横田めぐみさんら拉致被害者全員が帰国する日が早く訪れることを一国民として願っている。

 横田滋さんのご冥福をお祈りします。

合掌

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