脱コロナの台湾「早く日本に行きたい」

The following two tabs change content below.
葛西 健二🇯🇵 @台北 Taipei🇹🇼

葛西 健二🇯🇵 @台北 Taipei🇹🇼

京都産業大学外国語学部中国語学科、淡江大学(中華民国=台湾)日本語文学学科大学院修士課程卒業。1998年11月に台湾に渡り、様々な角度から台湾をウオッチしている。

 6月4日で52日間連続国内感染者ゼロの台湾は、日に日にかつての賑わいを取り戻しつつあります。週末の各観光地には多くの人が繰り出し、6月26日からの3連休(端午節)は各観光地の宿泊施設の9割が予約で埋まっているとのこと。政府も旅行補助金案を近く発表する予定です。今までの自粛の反動からでしょうか、多くの人が旅行を計画している状況になっています。

■日本に行きたくて「我慢しすぎてどうかなりそうだ」

台北の街並み(撮影・葛西健二)

 国外への旅行については、現在、出入国制限を行っているため、もう少し、先になりそうです。2019年の台湾人の海外出国者数は延べ人数で約1700万人(交通部觀光局 108年1月至12月中華民國國民出國目的地統計)でした。人口が約2380万人であることを考えると、かなりの割合で海外へ行っていることが分かります。

 渡航先では約490万人の日本が最多で、全出国者数の28.8%を占めています。ちなみに2位は中国で約400万人です。

 脱コロナが進み、旅行好きが多い台湾では、当然のように「いつ頃から日本への渡航が可能なのか」とネット上で多くの意見が交わされています。例えば台湾の有名掲示板では「解禁多久後敢去日本?(規制解除後どれくらいで日本へ行こうと思うか)」のテーマで意見が交わされています。

疫苗開發出來才會考慮(ワクチンができてから考える)」

一年以後看看(一年後に様子を見て)」

明年才敢去了(来年なら行く)」

 と、多くは慎重なコメントです。しかし、中には

當然是隔天啊,都快悶死了 (もちろん次の日に、我慢しすぎてどうかなりそうだ)」

台日兩邊都不用吃隔離的話,還是會衝的 (双方隔離処置がなければ すっ飛んでいくよ)」

請到假馬上去(休みが取れたらすぐに)」

 と、今すぐにでも行きたいと言う意見が多く見られました。中には

馬上去!快2個月沒見男朋友了(すぐ行く!2か月彼氏に会っていない)」

 と、ウイルス禍が遠距離恋愛に及ぼした影響が感じられる切ないコメントもありました。

■台湾人の大阪への親近感「海外にいるような気がしない」

 日本に行きたいという台湾の人は、日本のどこに行くのでしょうか。一般的に台湾では東京や北海道、そして京都・大阪・神戸が人気です。京阪神を訪れる人は、関西国際空港から大阪へ、大阪を宿泊地として大阪の街を楽しみつつ、少し足を伸ばして京都、神戸、奈良へ日帰り観光というプランを立てる人が多いと聞きます。大阪ではショッピング、京都・神戸・奈良では観光というスタイルです。

 興味深いのは、大阪訪れたことのある台湾の人がしばしば「大阪は海外にいるような気がしない」と口にすることです。特に台北や高雄など都市部在住の人と日本の話になると、「北海道や東京、京都に行くと日本にいることを実感するけれど、大阪は台湾(の都市)と変わらない」と言われることが思いの外多く、私もこれに「同感」です。

■京都出身者が感じる大阪での安心感

大阪・天神橋筋商店街の脇道 この風情が台湾の人を惹きつける(撮影・葛西健二)

 私は年2回程度実家のある京都へ戻ります。実家から大阪梅田までは電車一本で行けるので、帰省の際にはよく大阪まで繰り出すのですが、台湾定住後10年ほどしてからでしょうか、青春を過ごした京都の四条河原町界隈にいるときよりも、大阪市内をぶらついているときのほうが「安心感」があることに気づきました。

 「慣れ親しんだ」感覚というのでしょうか、例えば京都から阪急電車で梅田に降り立てばすぐに「肩の力が抜ける」感覚です。それは何故か。私は、恐らくそれは大阪の「音」と「匂い」が台北に似ているからだと思います。例えば大阪の人の話し声の大きさや雑踏のざわめき、漂ってくる食べ物の匂い、それらが生み出す活気、そういったバランスが台北の街中のそれととても似ているため、台湾の人のイメージする「日本」ではなく、「台湾と変わらない、海外にいる気がしない」と感じるのではないでしょうか。

■大阪=人情の街

 「大阪は海外にいる気がしない」と述べましたが、台湾の人の大阪に対するイメージは「賑やか」「食べ物が美味しい」といった良いイメージが多く、近隣府県への観光も含め大阪はリピーターに人気の都市です。

 私と同年代の台湾人の友人は初めて大阪に旅行へしたとき、道に迷ってしまったのですが、そのとき通りかかった男性が親切にしてくれ、目的地まで歩いて連れて行ってくれたそうです。以来大阪をいたく気に入り、結婚後も子供ができてからも何回も大阪へ遊びに行っています。

 一人のほんの少しの好意が、旅行者を”日本ファン”にしてしまうこともあるということでしょう。そう思うと、外国からのお客さんと接するときは、一人ひとりが国の代表という思いが大事であることを思いますし、大阪はそうした点で義理人情に厚い人が多いのではないでしょうか。私も日本人としてそういう話を聞くと嬉しくなります。新型コロナウイルス禍が一日でも早く収束し、日台の往来と交流が戻るよう願っています。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。