台湾は日清戦争の「犠牲品」

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松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵

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青山学院大学大学院法務研究科卒業。1985年から2014年まで日刊スポーツ新聞社に勤務。退職後にフリーランスのジャーナリストとして活動を開始。
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 台湾の高校の歴史教科書を日本語訳した「台湾の歴史」(薛化元主編・永山英樹訳、雄山閣)がベストセラーになっているという。日本統治時代も淡々と客観的事実を述べているという印象を受けたが、日本の植民地経営に批判的とも取れる表記も目についた。

■台湾割譲後の抵抗運動「抗日三猛」

「台湾の歴史」から。日清戦争の犠牲品の表記が見える

 「台湾の歴史」は248ページ(本編226ページ)で日本では今年2月27日に発売された。石器時代から、台湾ネイティブの人々の簡単な紹介の後、いきなり大航海時代へと飛ぶ。台湾が国際社会に登場したのがその時期だけに、無理のないところであろう。

 日本人として注目したいのは、日本統治時代を台湾の歴史教科書がどう評価しているかという部分。全体としては客観的に書かれているように感じる。台湾は民主国家であり、理性的な国であるから、それも当然なのかもしれない。

 日清戦争の結果、大日本帝国が台湾を領有することになった点は日本の歴史教科書でも必ず触れる部分であるが、現地での抵抗運動についてはあまり触れられていない。しかし、同書の第3篇「日本統治下の台湾」第6章「総督主導の新時代」第1節「日本人が来た」では詳細に説明されており、「抗日三猛」と呼ばれた簡大獅、柯鉄虎、林少猫らの名前を紹介している(p113)。

 このあたりは日清戦争の結果、割譲を受けた側(日本)と割譲された島(台湾)という立場の違いであろう。小見出しが「日清戦争の犠牲品」。何とも自虐的な表現のように思えるが、台湾人の意識からすれば当然のことなのかもしれない。

■日本統治下の経済発展「物質、経済の面で著しい進歩」

「台湾の歴史」から

 続く第2節の小見出しは「植民体制下の経済発展」と、日本統治時代の経済発展を記述している。「総督府は…インフラ建設や経済開発にも力を入れた。その結果、台湾は物質、経済の面で著しい進歩を遂げている」(p120)としている。

 さらにインフラ建設については「総督府は水力発電を主とした電力施設も次々と建設し…1934年に日月潭第一発電所が完成したことは、台湾の電力工業には重要な一里塚となった。それにより電力使用が更に普及したからだけでない。工業発展の基礎も築かれたからである」(p122)と、当時の台湾総督府の功績を淡々と記述。

 もっとも、こうした投資の目的は効率的な植民地支配にあったと言いたいらしく、「植民統治の主要目的は、政治制度、社会、文化、経済の各面において、母国の需要と利益に奉仕することにある。」(p120)としている。

 それは間違いではないのであろうが、当時の政府が「台湾から利益を吸い上げてやれ」とか「日本に利益を還元させよう」という思惑に満ちていたかと言われると疑問が残らないでもない。

■日本統治時代の差別的状況と法治観念の確立

 日本統治時代の台湾人への差別的な状況も触れられている。これは事実を述べているのだから、それはそれで間違ってはいないと思う。第7章「日章旗下の台湾社会」の第1節「差別待遇下の社会発展」では以下のように記述されている。

 「植民体制の下、統治者である日本人より遥かに人口が多い被統治者の台湾人に対する経済、教育、社会の面で見られた」(p131)とし、1936年時点の台湾人と日本人の賃金比較を行っている。それによると、靴工(靴職人か)で台湾人は1日0.9円のところ、日本人は2.2円と2倍以上稼いでいた。

 資料の出典がないのは疑問だが、それが事実であればいい。職人であれば熟練度の差で待遇面の差は出るのであろうが、それでも日本人が優遇されていたのかもしれない。

 一方で第2節「生活の変化と芸文の発展」では、「公務はおおよそ法に基づき行われており、台湾人の法治の観念、遵法の習慣が徐々に確立されて行った」(p139)とされている。法治観念の確立が明記されているのは、公平な記述であると思う。

■価値観を共有できる国・台湾

 全てを紹介できないが、概ね、このような客観的な記述になっている。日本側から見た歴史ともそれほど乖離していない。

 歴史を事実ではなく、政治的文脈でしか語れない国が我が国の周辺には存在している。それらの国と比べると台湾は科学的、合理的、純粋に学問として歴史を見ているのは明らか。日本人からすれば、このあたりが「価値観を共有できる国」と思える1つの要因であろう。

"台湾は日清戦争の「犠牲品」"に1件のコメントがあります。

  1. 野崎 より:

    こんにちは

    以前ユーチューブで、統治時代を検証した台湾TV局の番組を見たことがあります。

    批判すべきところは批判し評価すべきところは大いに評価しており、台湾に骨を埋める気持ちで関わった日本人の資質につていての評価が印象に残っています。
    そして台湾人のふがいなさを語っていたことも、

    人種差別に対し人種評価という言葉を流布したいとコメントしましたが、

    韓国人やいかに、暴力性があり虚偽を述べる資質、韓国人自らが認めていることが中央日報にありました、火病は広く韓国人が認めるところです。

    中華の言葉どおり覇権的資質をもつ国、米国対ソ連が今や、米国対中華、、

    隣国の問題はあれど、日本国内、獅子身中の虫、売国奴の存在。

    靖国参拝も慰安婦も日本人が火をつけた問題です。

    こ奴等こそ退治せねばならない存在です。

    御返信は不要です。

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