ダレノガレ明美氏事件 アエラ謝罪文のトリック
松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵
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ニュースサイトの「AERA dot.」が5月14日に、配信記事を取り消すおわび記事を出した。タレントのダレノガレ明美氏が違法な薬物を使用した事実があるかのような内容で、既に記事は削除されている。しかし、出されたおわび記事を見ると、責任逃れと思われる文言となっている。本当に謝る気があるのか疑問である。
■ダレノガレ明美氏と事務所にお詫び
問題の記事は「AERA dot.」が5月5日に公開した「『マトリ』が次に狙うセレブタレント 昨年大麻逮捕の“元女優”と同ルートか」。マトリとは「麻薬取締官」のことである。記事内で捜査当局がタレントのAの交友関係を丹念に洗っているとし、芸能関係者の話を紹介しているが、これが「A=ダレノガレ明美氏」と推認できるような内容となっている。
ダレノガレ明美氏と所属事務所のLIBERA株式会社はAERAdot.に対して内容証明で警告書を送付。これを受けて5月14日にAERAdot.が株式会社朝日新聞出版名義でのお詫びを掲載したというものである。
そのお詫び記事の一部を示そう。
…ダレノガレ明美氏と所属事務所のLIBERA株式会社から、記事中の「タレントのA」がダレノガレ明美氏と「同定が可能」であり、ダレノガレ明美氏が「過去も現在も薬物を使用ないし所持したことは断じてなく、それを疑うべき事情も一切ありません」とする「警告書」を受け取りました。記事は関係者に対する十分な取材や事実確認ができておらず、ご批判を真摯に受け止め、記事を取り消し、ダレノガレ明美氏とLIBERA株式会社に深くおわび申し上げます。
これに対し、ダレノガレ明美氏は、5月16日午後4時24分にツイッターで「…朝日新聞出版、AERA dot.は結局デマだけ流して軽く謝って終わりにしようと…」と反応を示している。
確かにこのお詫び記事で納得できるものなどいないであろう。
■お詫び記事の注目点「同定が可能」
お詫び記事で注目していただきたいのは、以下の部分である。
記事中の「タレントのA」がダレノガレ明美氏と「同定が可能」であり、…
この部分を正確に解釈すると、「ダレノガレ明美さんは『Aは私のことだと分かるようになっている』と言ってます。」ということである。これが何を意味するのか。ダレノガレ明美氏の言い分であることを明示するために同定が可能を「」で括ったのである。つまり、朝日新聞出版、AERA dot.の両者とも、「A=ダレノガレ明美氏と同定できるとは認めていない」のである。
(1)A=ダレノガレ明美さんと分かるような記事を書いて、名誉を傷つけました。ごめんなさい。
(2)「A=ダレノガレ明美さんと分かるし、薬物をやってない」という警告書をもらいました。十分な取材、事実確認が出来ない記事でごめんなさい。
つまり(1)ではなく、(2)で謝っているのである。
■民事だけでなく刑事責任の追及も
この先、この件はダレノガレ明美氏サイドが損害賠償を請求する民事訴訟になるのかもしれいない。僕も新聞社というメデイアにいたから分かるが、こうしたメディアは民事訴訟など慣れたもので、仮に負けても数十万、高くて数百万円程度支払えば終わりである。
ところが、本件では民事訴訟だけではなく刑事責任を追及される可能性がある。もちろん、名誉毀損罪(刑法230条1項)である。この名誉毀損罪の構成要件は以下の通り。
①公然と
②事実を摘示し
③人の名誉を毀損する
本件では①・③については不特定多数の人が目にするネット上で、名誉を毀損しているため、問題ない。また、取材・事実確認が不十分と認めているのであるから、真実性の誤信を理由に名誉毀損罪は成立しないという主張をする気はないのであろう(参考:最大判昭和44年6月25日)。
そうすると、判断が分かれるのは②である。事実を摘示する場合、「対象とされる者が明示される必要はないが、それにより他人の社会的名誉が害される危険性がなければならないから、表現の全体あるいは行為当時の状況から、誰に関する事実の摘示であるかが明らかになっていなければならない」(条解刑法第2版、p637、参考:最判昭和28年12月15日)とされている。
この同定の部分で朝日新聞出版、AERA dot.は逃げ道を考えていると思っていい。
■お詫び記事の歯切れの悪さの理由
朝日新聞出版、AERA dot.は刑事責任を追及された時に、人物の「同定」については認めないことで無罪を求める考えと思われる。ここで「私たちも、A=ダレノガレ明美さんであることは意識していたが、読者に分からないようにしたつもりではあったが、同定されても仕方ないという思いもあった」と認めてしまえば名誉毀損罪の成立を認めることに等しい。
そうならないよう弁護士からアドバイスを受け、お詫び記事を作成したものと思われる。その結果、(本当に反省してるの?)という表現になったのであろう。
ダレノガレ明美氏のツイッターによると近日中に朝日新聞出版、AERA dot.サイドと面談するようである。ダレノガレ明美さんサイドも弁護士が付くであろうから言わずもがなであるが、お勧めしたいのは「人物の同定の可能性をどう考えていたか」を聞くこと。おそらく、朝日新聞出版、AERA dot.側は言葉を濁して答えないはずである。その点を徹底的に突き、民事訴訟とは別に刑事告訴(刑事訴訟法230条)の準備も整えることをお勧めしたい。
普段は超スピードで芸能人のTVラジオの発言やらSNSやらをコピペする日刊スポーツが
このダレノガレさんへの朝日新聞のフェイクニュース謝罪とか、
指原さんの検察ハッシュタグ拡散指令暴露発言とか、
みちょぱさんの福山議員抗議発言とかは一切扱わないですよね。
他のスポーツ新聞は普通に報じてますが。
公平中立とか言ってないで左翼のための新聞ならそう言って欲しいです。
いっそゲンダイの方が清々しい。
日刊スポーツは朝日新聞の子会社ではないと私は思ってたんですが、違うんですかね?情けないですねえ。
話変わりますが今年初めには競艇界で、公営競技の存続を揺るがすような八百長事件が起きましたが、日刊スポーツはほとんど報じませんでしたね。
聞くところによると大広告主なのでなるべく叩くな、と上から話があったようです。
これで権力と闘うとか言ってるのはおかしいですね。読者をバカにするなと言いたいです。
>>報道しない自由様
コメントをありがとうございます。
日刊スポーツは僕がいた時より、かなり左傾化している感じです。左傾化はいいのですが、報道機関として自分達に都合の悪い事実を流さないというのは、もはやメディアと呼ぶに値しません。
競艇の話は事情は知りませんが、十分にあり得る話でしょう。
K-1が6000人が集まる大会を開いたのに、平気で後援する神経も理解に苦しみます。
OBとして恥ずかしい限りです。
松田様お返事ありがとうございます。
日刊スポーツは以前は本当に独立公正を謳っていて、朝日新聞に対しても「社長の息子がシャブ逮捕」という大見出しを掲げて報じたはずです。
すると朝日新聞に激怒されて販売協力をやめるぞと脅され、それから朝日新聞に頭が完全に上がらなくなったと聞いてます。
言論の自由はどこに行ったんでしょうね。松田様の退社後なんでしょうか。