残り300mから大逆転 英サセックスS

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松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵

青山学院大学大学院法務研究科卒業。1985年から2014年まで日刊スポーツ新聞社に勤務。退職後にフリーランスのジャーナリストとして活動を開始。

 欧州のマイルの大一番、G1サセックスS(芝8ハロン)が7月29日に英グッドウッド競馬場で行われ、単勝2番人気のモハーザー(牡4、M.トレゴニング厩舎)が制した。

■ラスト300mで最後方に下げた

写真はイメージ(東京競馬場)

 7頭中3頭がG1馬という強豪揃いの中、前走、ロイヤルアスコットのG1クイーンアンSを制したサーカスマキシマスが逃げる。2番手に愛2000ギニー2着のヴァチカンシティー、内に英2000ギニー馬カメコと続き、その後ろにモハーザーが5番手、外に英2000ギニー2着のウィチタが4番手を進み、6番手が単勝1番人気、無敗の愛2000ギニー馬シスキン、最後方に仏2000ギニー3着のサンドナトという並び。

 直線でモハーザーは馬群に包まれて出場所がなくなり万事休すかと思われたが、残り300m付近でJ.クローリー騎手が最後方まで下げて外に持ち出し、そこから一気の末脚で、先行勢をまとめて差し切った。

 残り300mでの決断がタイトルを引き寄せた。もし、負けていたら相当な批判は覚悟しなければならなかったであろうことを思うと、勇気ある決断だったと言えるであろうし、実質300mの競馬で差し切った馬の強さも驚異的である。管理するM.トレゴニング調教師は2006年の英ダービーをサーパーシーで制して以来、14年ぶりのG1制覇となった。

 逃げたサーカスマキシマスが4分の3馬身差の2着に粘り、シスキンが追い込んで3着、カメコが4着となった。

■骨折でクラシック不参戦 4歳夏で待望のG1制覇

 勝ったモハーザーは米G2ジムクラックSを制したショーケーシングの産駒で、全姉が米国で重賞4勝したプライズイグジビットという血統的背景を持つ。デビュー戦は2着だったが、その後重賞2クラを含む3連勝。

 昨年4月13日のG3グリーナムS(芝7ハロン)を勝ってクラシックの有力候補となったが、亀裂骨折で出走できなかった。シーズン終盤の10月19日、G1クイーンエリザベスⅡ世Sで復帰して5着。

 4歳の今年は6月16日のG1クイーンアンSに出走してサーカスマキシマスに完敗の7着も、続く前走7月11日のG2サマーマイルS(芝7ハロン213ヤード)で単勝1番人気に推され、2着のサンドナトに3馬身4分の3差をつけて勝ったことで、評価が高まっていた。

 クラシック候補だった大器が4歳夏でようやくタイトルを獲得。ハイレベルの一戦を制したことで、今年下半期の欧州のマイル戦線の主役の1頭となるのは間違いなさそうである。

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