「息苦しい」とマスク外す野党議員の倫理観

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松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵

青山学院大学大学院法務研究科卒業。1985年から2014年まで日刊スポーツ新聞社に勤務。退職後にフリーランスのジャーナリストとして活動を開始。

 野党統一会派の階猛衆議院議員(無所属)が4月10日の法務委員会で「息苦しい」とマスクを外しての質疑を求め、許可を受けた。階議員は地元岩手が感染者ゼロであることから、県外からの宿泊者に事実上2週間の隔離を義務付ける意見をツイートするなどで知られる。

■マスクを外しての質疑求めた階猛議員

4月11日付け朝日新聞朝刊から

 4月11日付けの朝日新聞朝刊の「『3密』回避 国会でも本腰」という記事の中で階猛議員の行動について以下のように記載されている。

 法務委員会は、普段は予算委が開かれる広めの第1委員室で開催。野党統一会派の階猛氏(無所属)は「息苦しい」としてマスクを外しての質疑を求めた。松島みどり委員長(自民)が「(周囲との間隔が)2mぐらいある」と確認し、許可する場面もあった。

 安全性が確認されたのでマスクを外したというのであるが、新型コロナウイルスの感染拡大防止に国民が一丸とならなければいけない時期に国会議員マスクを外す、しかもその理由が「息苦しい」である。マスクをすれば息苦しいのは誰でも同じ。多くの国民はそれを我慢してマスクをして電車に乗り、そのまま仕事をしている。

 参議院の話であるが、れいわ新選組の舩後靖彦議員は呼吸系に影響が出る感染症にかかれば命にかかわるとして、国会審議を欠席した。そういう状況下で「息苦しいから」とマスクを外したいと言い出す国会議員の思考回路はどのようになっているのか、理解に苦しむ。

■感染者0の岩手県に入る際に2週間の隔離?

野党の議員さんにもモラルを求めたい

 あまり細かいことをあげつらうのは本意ではない。しかし、黙っていられないのは階議員の場合、新型コロナウイルスに関して様々な発言をしているからである。

 4月11日現在、日本で感染者が出ていない都道府県は岩手県のみで、同議員の選挙区は岩手1区。4月7日午前9時36分に以下のようなツイートをしている。

 岩手は未だ感染者ゼロ。学生をはじめ、緊急事態地域から疎開してくる方が今後増えるだろう。その場合、県内の宿泊施設を県などで借り上げ、2週間滞在してもらい感染の有無をチェックしたらどうか。県内の感染防止に役立ち、宿泊業者等への支援にもなる。

 「2週間滞在してもらい感染の有無をチェック」ということは、事実上の隔離検疫を実施せよと言っているように読める。どのような法的根拠に基づくのかは明らかにされていない。

 地元を愛するがゆえの発言と思われるが、他者にこれだけの負担を強いようとする議員が「息苦しい」とマスクを外しての質疑を求めることに違和感を覚える人は少なくないであろう。

■学校休業要請に「法的根拠なし」と批判

 実は同議員は2月27日に安倍晋三首相が全国の小中高などに休業を要請する方針を明らかにした時に、以下のようにツイート(2月28日午前0時24分)している。

 首相の要請は、行政府の長が法的根拠なしに国民の自由・権利を一般的に制約しており、立法行為を行うに等しい。…(中略)…コロナ対策を理由に、憲法の定めを逸脱することは許されない。

 これを立憲民主党の塩村あやか参議院議員がRTしたのは過去に紹介した(参考:休校要請時の立民議員たわ言プレイバック)。階議員に聞きたいのは、自らがツイートした、県外の者が岩手県に入る際に2週間、同じ場所に宿泊させる場合の法的根拠である。

 同議員の一連の発言・言動をまとめると以下のようになる。

・学校休業要請は法的根拠なく国民の自由・権利を制約するもので許されない

・岩手県に来る人は実質的に2週間隔離したらどうか

・息苦しいので、マスクを外していいですか?

 ちなみに同議員のホームページのプロフィール等によると、東大卒、弁護士資格保有、2007年初当選で議員5期目である。

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