”ボランティアから千円”批判 れいわ議員のナマ臭さ
松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵
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石川県が能登半島地震の被災地でのボランティアを募集するにあたり、一部で参加費1000円を取ることが批判されている。れいわ新選組の櫛渕万里衆院議員はXで「それ自体あり得ない」と酷評。しかし、この発言はボランティアの本質を理解しないばかりでなく、自身の出身母体であるNPOへの利益誘導を狙っているのではないかと疑いたくなる発言と言える。
◾️櫛渕万里議員の投稿に注目
今回の参加費1000円は2月26日から開始するもので、穴水町の旧向洋中学校に最大100人が使用できる「奥能登ベースキャンプ」を設置し、ボランティアが1泊2日での活動を行うための宿泊施設とするもの。
その際にボランティアから参加費用として1000円を集める(TBS NEWS DIG・石川県の一般ボランティア 今月26日から1泊2日の活動も開始へ 能登半島地震)。
この1000円は、初日の夕食と2日目の昼食の費用となる(石川県災害ボランティア情報特設サイト・奥能登ベースキャンプ)。
これに対して櫛渕議員は以下のように投稿した。
被災地でボランティアからお金を徴収する、という報道。それ自体あり得ないが、国が災害補正予算をいまだ組んでいないからでは?震度7地震で初めてのこと。初動の災害ボランティアや団体に今からでも資金支援をし、新たなボランティアが活動する仕組みは災害NPOに任せる方がよほど効果的だ。(2024年4月24日午前9時39分投稿)
同議員以外にも、主にX上で(ボランティアからお金を取るなんて…)という投稿が複数見られる(例として、投稿①、投稿②、投稿③)。
こうした批判の根本には、(善意で協力してくれるボランティアから集金して儲けようというのか)(社会に貢献したいという思いを具現化するボランティアに「参加したければ金を払え」という姿勢はおかしい)といった発想があるように思う。そうした社会からの疑問が生じる点に乗じて、櫛渕議員はボランティア活動の仕組みづくりを民間(NPO・NGO)に任せた方が効果的と、行政ではなく民間主導のボランティアの導入を一足飛びに提案しているように感じられる。
◾️災害ボランティアの原則と心構え
櫛渕議員はおそらく、ボランティアを「無償で奉仕して地域や人々に施しを与え、被災地・被災者を救済する崇高な使命を完結する行為、人」であると感じているのであろう。そのため、善意の発露、社会奉仕をする人からお金を取るなどとんでもないという投稿になるものと思われる。
ボランティアに上記のような面があることを否定するものではないが、そもそも、災害ボランティアについては、以下のような原則と心構えが大事であることを忘れてはならない。
★災害ボランティア活動の三原則
①被災者中心、②地元主体、③協働
★災害ボランティア活動の心構え
(1)自己完結、(2)自己責任、(3)被災地・被災者への配慮、(4)多様性の尊重
(環境省・災害ボランティアの活動について)
心構えとしての自己完結、自己責任ということは自分の行為が他者の負担にならないようにすべきで、宿泊も食事も自ら調達し、他人に頼ることがあってはいけない。ボランティアが現地で「食べるものをください」「泊まる場所を世話してください」と頼むようなことがあれば、救援・支援にあたっている行政や地元民、他のボランティアに不必要な負担をかけることなる。そのことで救援・支援が滞ることになれば本末転倒である。
それゆえ、現場でボランティアが負傷したり、何らかの被害を受けたりしても、それは望んでその場にきた自身が責任を負うべき。災害ボランティアは被災者中心が原則で、被災地・被災者への配慮という心構えで行うことは、不必要なトラブルや事故が救援・支援を待つ土地や人々のマイナスになるから、そうならないように気をつけてボランティアを行ってくださいということと解釈していい。
「スーパーボランティア」の異名で知られる尾畠春夫氏も「ボランティアは自己完結。現地で食べ物や飲み物をもらうことはしないし、自分の安全は自分で守ります」と語っている(週プレNEWS・笑って、泣いて、今日も人助け――休む間もなく活動する”神ボランティア”尾畠さんを直撃!)。
◾️「むしろありがたい」の声も
もっとも、そのような自己完結、自己責任を求めた場合、(そこまではできない)と慎重になってしまう人が出ることは避けられない。それは「危険な現場で人助けをするのは、そんなに簡単なことではない」ことを知るにはいい機会かもしれないが、同時に何とか社会の役に立ちたいという真摯な思いを持つ人を排除することにもなり得る。
その点を考えて石川県は「せめて食費だけでも負担してください」と、今回の1000円を集めるという判断に至ったのではないかと思われる。実際のところ、1000円の負担によって宿泊場所と食事の心配がなくなったことを前向きにとらえる人も存在する。
…参加費1000円を徴収することが話題ですが、これはあくまで「本来自弁すべき食費のうち2食分の提供実費」です。そして実際に支援業務に当たった身としては、実はこれはむしろ実質負担減となり「大変ありがたいもの」になります。(2024年2月24日午後8時13分投稿)
こうした声があることを櫛渕議員はどのように感じるのであろうか。
◾️過去にピースボート事務局長
櫛渕議員がボランティアからお金を取ることを「それ自体あり得ない」と考えるのは勝手である。それを見た人が(そういう考えもあるんだな)(その程度の考えしかない国会議員なんだな)と考えるのもまた自由である。
しかし、看過できないのはポストの後半、初動の災害ボランティアなどに今から資金支援をして、新たなボランティアが活動する仕組みを災害NPOに任せる方が効果的とする部分である。これは大きな問題を孕む。
同議員は過去にNGOピースボート事務局長となっている(同氏オフィシャルサイト・こんにちは、くしぶち万里と申します。)。このピースボートは能登半島地震があった翌1月2日には先遣スタッフを現地入りさせている(ピースボート災害支援センター・【初動レポート】2024年石川県能登半島地震、現地支援中)。ボランティアの事前登録も行い、実際にボランティアを派遣しているようである(同・事前登録開始のお知らせ 2024年石川県能登半島地震 災害ボランティア)。
同議員の今回の投稿の後半は、要は「ピースボートに今から資金支援をして、新たなボランティア活動の仕組みをピースボートに任せた方が効果的です」と主張しているに等しい。そもそも同議員が石川県が1000円を集めることが適切ではないと考えるのであれば、「県が負担せよ」と主張すれば足り、それで問題は解決する。
それをなぜか今からピースボートなどのNGO、NPOに資金を与え、今後はボランティア活動の仕組みを任せた方が効果的と主張を飛躍させている。一般の人が(ボランティア派遣について行政が手を引き、ピースボートなどの民間に任せていいはずがない)と感じるであろう無理筋を利益誘導目的で、どさくさに紛れて主張しているのではないかと感じる人は少なくないと思われる。
◾️れいわ新選組の政治的野心
れいわ新選組については、山本太郎代表が発災4日後に現地入りして、現地でカレーを食べたと批判され、当サイトでもその行為は政治目的があるのではないかと批判した(山本太郎氏被災地入り”善意という名の野心”)。
今回の櫛渕議員の投稿を見ると、非常に厳しい言い方をすると、れいわ新選組は党として能登半島地震を政治的アピールの場としか考えていないのではないかと勘繰ってしまう。同党にはあらためて災害ボランティアは被災者中心という原則を感じてほしい。
そんなにピースボートが大事なら、日本の役に全く役に立っていない議員なぞとっとと辞めてピースボートの重要な収入源である世界一周クルーズにでも同伴すればいいい。