宮崎文夫容疑者はMAX懲役22年6月 軽くないあおり運転・暴行の代償

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松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵

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青山学院大学大学院法務研究科卒業。1985年から2014年まで日刊スポーツ新聞社に勤務。退職後にフリーランスのジャーナリストとして活動を開始。
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 常磐自動車道であおり運転をした上に、24歳の会社員を殴った傷害容疑で指名手配されていた宮崎文夫容疑者(43)が8月18日午前、大阪市内で逮捕された。社会に衝撃を与えた事件は、これから真相が明らかになってくるであろう。成立する犯罪や量刑について、僕なりの考えを書いてみた。あくまでも報道された範囲で、特別法は考えずに刑法のみの判断である。なお、逮捕の様子は日刊スポーツが迫力ある映像を撮影しているので、ご参考までに。

■事件は8月10日、常磐自動車道で発生

逮捕される様子もムカつく…(写真はTBSから)

 事件は8月10日に茨城県守谷市の常磐自動車道で発生した。男性会社員(24)があおり運転を受け車を停止させられた上、宮崎文夫容疑者に5発殴打されたというものである。その際に、同乗していた女が携帯電話で撮影する様子も見られた。なお、宮崎容疑者が乗っていたSUVは、7月21日にディーラーから3日間(7月23日まで)の約束で借りたものであったが、8月11日になって代理人から返却されたという。

Q01:宮崎容疑者の男性会社員への行為の罪状は?

A01:指名手配の容疑である傷害罪(刑法204条)が成立するのは疑いない。殴打する前にあおり運転をしていたというので暴行罪(208条)も成立する可能性があるが、これは殴打するまでの一連の行為の中であって観念的競合(54条1項)になり、最も重い罪である傷害罪(15年以下の懲役または50万円以下の罰金)での処断になるから、それほどこだわる必要はない。

■22日後にディーラーに返却したSUV、犯罪は成立するのか

Q02:自動車を借りたディーラーに対して犯罪は成立する?

A02:ディーラーに対して3日間の約束で車を借りたのに22日後に返却した行為は、結論から言えば1項詐欺(246条1項)にあたると思う。「借りた期間を過ぎただけじゃないか」「期間を過ぎた後も電話連絡をしている」などの反論も聞こえてきそうだが、「権利者を排除し他人の物を自己の所有物と同様にその経済的用法に従いこれを利用し又は処分する意思」(最高裁判決昭和26年7月13日ほか)、いわゆる「不法領得の意思」は認められると考えるのが普通であろう。

 ディーラーから借りる際には「自分の車の修理にともなう代車」として「3日間」という約束で借りたとされているが、おそらく最初から返却する気はなかったと思われ、それはディーラーに対する欺罔行為と言える。

 なお、不法領得の意思についての判例としては最高裁決定昭和55年10月30日がある。これはガソリンスタンドの駐車場から数時間だけ使用して元に戻すつもりで自動車を無断で乗り出した行為(4時間余り)について窃盗罪の成立を認めた(懲役10か月)。

 宮崎容疑者が大幅に日数を超え、しかも2000kmも乗り回していたこと、何箇所か車体を凹ませていること(不法領得の意思があり、もはや連絡する必要がないと考えたと判断できる)などから最初から返却する気はなく詐取したと判断される可能性はあると思う。後日返却したのは既遂に達した後の行為であるから、詐欺罪の成立には影響を及ぼさないのではないかと思う。(※実際は横領罪が成立すると思われる)

■併合罪でMAX懲役22年6月、あくまでも理論上

Q03:SUVの車体が傷ついているのは罪にならない?

A03:他人の物(SUV)を宮崎容疑者が傷つけていれば器物損壊罪(261条)が考えられるが、本件ではSUVを詐取したと考えるのが普通であるから、そうなると車体を傷つけたとしても、いわゆる不可罰的事後行為であり犯罪は成立しないであろう。

Q04:それ以外に犯罪は成立しない?

A04:7月23日に静岡県と愛知県で、あおり運転をしていると見られており、それが事実なら、暴行罪が成立すると考えられる。

Q05:量刑はどの程度?

A05:再犯加重の有無や、前刑の執行猶予中かなど、詳細な状況が分からないのでそこは考えない。傷害罪と詐欺罪、暴行罪(静岡県や愛知県でのもの)は併合罪(45条)の関係であり、最も重い罪の1.5倍まで科刑できるから、マックスで傷害罪の懲役15年の1.5倍で懲役22年6月という計算になる。あくまでも理論的には可能ということであり、実際の量刑は裁判で詳細な事情が明らかにされてから決められる。犯行は極めて悪質だが傷害でも比較的軽い部類であろうし、フルに科刑されることはないと思う。

■同乗していた女は幇助、それとも正犯?

Q06:同乗していた女は犯罪の幇助になる?

A06:詳細な状況、犯行にどの程度、関与していたかは分からないが、結論から言えば幇助(62条)ではなく、共同正犯(60条)になると思う。

 女は最初にSUVから降りてきて撮影を始めており、事件に積極的に関わっている様子が見られる。車から降りる段階では宮崎容疑者が男性会社員を殴打することについて事前共謀ができていたと考えるのが自然。女が車の前に立って発進させることを防ぎ、それを確認して男が出てくるという手順を見ていると、女は重要な役割を果たしていると考えられる。共同実行の意思、つまり「2人以上の者が、共同してある特定の犯罪を行おうとする意思」が映像を見る限り認められるように思える。

 幇助は「実行行為以外の行為で正犯の実行行為を容易にさせること」(条解刑法第2版p223)である。犯行の撮影をすることで精神的に犯行を容易にさせているとの解釈も可能だろうが、窃盗や強盗等で見張り役も共同正犯とされることが多い(最高裁判決昭和24年2月8日等)ことから、幇助とはみなされないという印象を持っている。

 以上のような感じで考えてみたが、いかがだろう。とにかく許し難い連中であり、塀の中で長期間、悔悟と反省の日々を過ごしてもらいたい。

6 thoughts on “宮崎文夫容疑者はMAX懲役22年6月 軽くないあおり運転・暴行の代償

  1. アバター 匿名 より:

    ああいう頭は悪いが、いざとなったら屁理屈を押し通す連中は、
    半島に帰ってほしい。

    1. matsuda matsuda より:

      >>匿名様
       コメントをありがとうございます。宮崎文夫容疑者の出身が半島なのか、島なのか、大陸なのか、僕は知りませんが、とにかく「自らの責任(民事・刑事とも)を果たせ」と言いたいです。しっかりと罪を償わせて「犯罪は割りに合わないな」と思わせないと、こういう連中はまたやりかねませんから。

  2. アバター 神宮 より:

    解説分かりやすかったです。宮崎に関しては少なくとも5年くらいは実刑判決をお願いしたいです。

    1. matsuda matsuda より:

      >>神宮様
       コメントありがとうございます。
       1項詐欺の部分は横領と考える人が多いのではないかと思いますし、共同正犯ではなく幇助とする方も少なくないと思います。詳細な状況が分からないので、あくまでも報じられた範囲内で考えたものです。ご参考までに。
       また、いらしてください。今後ともよろしくお願いいたします。

  3. アバター 法の番人の子分の親戚の従兄弟さん より:

    コメント拝見させてもらいました
    宮崎容疑者所有のポルシェカイエンの
    破損画像も見ましたが

    あれも保険金目当てじゃないかなぁと
    思ってます。

    たぶん保険調査会社が宮崎容疑者が
    故意に仕向けたような破損画像でしたが
    保険金が支払われた後に詐欺罪とかは
    なんとなくわかりますが
    まだ支払われる前なら詐欺罪にはならないのでしょうか?

    1. matsuda matsuda より:

      >>法の番人の子分の親戚の従兄弟さん 様
       コメントありがとうございます。
       ポルシェの話は僕は状況がよく分かりませんが、保険金目当てで故意に事故を起こすということであれば、保険金が交付された時点で詐欺が既遂になると思います。「詐欺罪が既遂に達するには…財物の占有を行為者又は第三者に移転することが必要である」(条解刑法第2版)とされているからです。
       また、「保険金詐欺においては保険金騙取の目的で家屋に放火した時ではなく、失火を装って保険会社に支払いの請求をした時に着手が認められる」(大判昭和7年6月15日)(条解刑法第2版)とされていますが、それをあてはめるとポルシェを破損した段階ではなく、保険金を請求した段階で実行の着手があるとされるでしょう。その上で、保険金の交付がない段階だと未遂ということなんでしょうね。以上、私見です。

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