吉祥寺混雑記事 今週は標準レンズで撮影か

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松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵

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青山学院大学大学院法務研究科卒業。1985年から2014年まで日刊スポーツ新聞社に勤務。退職後にフリーランスのジャーナリストとして活動を開始。
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 自粛要請にも関わらず吉祥寺が混雑していると報じた日刊スポーツが4月26日、前週と同じ場所から撮影したと思われる写真を掲載した。望遠レンズを用いて「圧縮効果」で混雑しているように見せているのではとネットで話題になったせいか、今回は標準レンズを使用したものと思われる。

■1週前と同じ場所での撮影

日刊スポーツ掲載の写真を比較

 日刊スポーツが4月26日に公開した記事は「吉祥寺過去2週より人通り減…行列と昼飲みは賑わう」というもの。記事は大上悟記者。4月19日の「吉祥寺は先週末と同じにぎわい『いいんだよ、別に』」では記事・写真とも同記者であったが、今回は撮影者の署名がなく、大上記者が撮影したものかは分からない。

 掲載されている写真は、前週の記事内にあった1枚とほぼ同じ場所で撮影されている。その2枚を並べたので、ご覧になっていただきたい。左が4月19日掲載(4月11日の様子とされている)のもので、右が最新の4月26日掲載のものである。

 2枚とも通路左側に赤い看板に「カラオケ」という文字、その下に進入禁止の標識があり、同じ場所での撮影と思われる。2枚の写真で手前にあるアーケードの柱の間隔の広狭に大きな差があるのがお分かりだろう。

 これだけで前週は望遠、今週は標準のレンズで撮影したことが推認できる。

■望遠レンズ使用の傍証 最前面の頭頂部

標準レンズと望遠レンズで撮影した時の違い

 もう1つ注目してほしいのは、前週の写真の左下、男性の頭部が大きく写っている部分。一番手前に人の頭頂部が写った写真をこの種の報道写真として使うことは通常あり得ない。歩行者は大抵、カメラを構えている人の前は避けて歩くし、撮影者も目の前に人がいたらそこを外して撮影する。

 僕は日刊スポーツ新聞社に在籍していたが、退職した2014年10月末までに大上記者が写真部に在籍したことがないことを知っているし、僕の退職後もないと聞く。そうなると問題の写真はいわゆる「記者カメ」であるが、僕たちも入社時に写真撮影の基本的な部分はレクチャーは受ける。男性の頭頂部が最前面に来ている写真を「撮ってきました~」と写真部に渡せば、気の短いデスクなら「バカヤロー」呼ばわりするであろう。

 ところが望遠レンズで撮影すると、被写体と一定の距離があるため、最も手前に写る人もカメラを構えている人に気付かない。そのため、最前面に人が写るという現象が起きてしまうのである。

 一方、今週の写真は目の前に大きく写りこむ対象物はない。標準レンズを用いて撮影する場合、僕でもこのアングルを狙う。この点も前週が望遠、今週が標準という傍証になる。

■エビデンスなき記事は”火消し”のため?

 肝心の記事だが「先週末も混雑していたアーケード街の人口密度は減少していた」との記述があるが、具体的な数値は記載されておらず、文章からすると個人の感覚だけの評価のように受け取れる。60代女性が「いつもより人が少ない感じですけど」とコメントしているが、「いつも」は新型コロナウイルス禍のない、通常の時期と取るのが自然であろう。少なくとも「先週よりは少ない」とは言っていない。

 つまり、業界の言葉を使えば「エビデンスなき記事」である。人口密度が減少していた根拠が大上悟記者の主観だけでは、納得する者などいないと思う。

 「火消しのための記事と写真」とまで言うと酷かもしれないが、多くの人がそう思っているであろうことは意識した方がいい。

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